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2007年6月 アーカイブ

2007年6月 1日

フリンジ

前エントリで「客は気に入らないと途中で出て行った」と書いたが、実際に出て行く客を見る機会はほとんどない。少なくとも今の日本ではあまりお目にかかれない。

では海外ではどうか?

スコットランドの首都エディンバラでは、毎夏 Edinburgh Festival Fringe が催される。
この期間中、街の各所で演劇が行われ、一日中、幾つもの芝居を見ることができる。観る側も観られる側も世界中から集まってくる。

これももう随分昔の話しになるが、私もこのフリンジに行ったことがある。もちろん観客としてだが。
世界中から銘々に集まってくるもんだから演劇の内容も質もマチマチ。単純に楽しめるモノ、演技や演出に感心するモノ、観てられないモノ・・・いろいろである。

さて「観てられないモノ」に遭遇した場合、観客はどうするか?
そっと出て行くのである。「せっかく木戸銭を払ったんだし最後までいるぞ」とは考えない。苦痛を堪える義理などないし、時間の無駄でもある。自分の感情に従ってシンプルに行動するのである。

2007年6月 4日

告白

前エントリで「自分の感情に従って出て行く客」について書いた。
かつて「こんな客を今の日本でも見てみたい」と考えた男がいた。

この男は大学院を辞めてフラフラと派遣社員などをしていた頃、ある大学のパフォーマンス・イベントに参加する機会を与えられた。
そのイベントのテーマは「告白」。参加者は観客の前で各々の「告白」を披露するのである。
持ち時間 15 分。
ある者は子供の頃からの隠し事を話し、ある者は自分の国籍についての作文を朗読し、またある者はテーマにあわせた小芝居を見せたりしていた。

さて彼はというと、15 分間、観客の前で歯を磨いたのである。ただ歯を磨く。無表情であるが、実は内心「感情に従って出て行く客」を見たくてワクワクしているのである。

当初、観客たちは他のパフォーマンスと同様おとなしく彼を観ている。ただ彼は歯を磨いているだけなのに。
5 分経つと観客はソワソワしはじめるが、この後の変化に期待でもしてるのか、彼を観ている。でも彼は歯を磨いているだけである。
(つづく)

2007年6月 5日

告白 のつづき

さて、歯磨きの彼にその後の展開を期待していた客たちは 10 分も経つとその期待は虚しいことだと悟り始める。
そして、遂に席をたつ客が現れる。

「やった!自分の感情に従い行動する客を見つけた!」彼は無表情に歯磨きを続けたまま喜んだ。

1 人が出て行くと 2 人 3 人と続く。また「これはきっと休憩時間だったんだ」と自分を納得させて出て行く客もいる。それでも 3/4 くらいの客は残った。

15 分。彼は腕時計で自分の持ち時間が終わったことを確認し舞台を去った。

バックヤードでは当イベント舞台美術担当の彫刻家先生が大喜び。演出家先生は演出上の不満があったモノの受容れられると云った感じ。

その後、歯磨きの彼は、同参加者であるバイオリン奏者の先生や、数名の学生に呼び止められ「アレは一体何だったんだ?」と問われた。
彼は「他人に見られることを前提にしていない日常の行為。これを客前に晒す。これこそ告白だと私は考えたのです」と答えた。

もちろんデマカセである。しかし質問者たちは納得し大いに満足して去っていった。

2007年6月 6日

困ったときの・・・

前エントリで、困ったパフォーマンスにデマカセな理由を付加したとこで、納得してしまう人々がいることを紹介した。

ひょっとするとデマカセでも表現に説得力が伴えば『芸術だ』などと考える人たちがいるのではないだろうか?
ひょっとすると立ち去らなかった 3/4 の観客は「歯磨き」に各自で理由付けし、ありもしない『芸術』を見ようとたのではないか?
また、ある者は現に『芸術』を見てしまったのではないか?


さて、感動したがる客に話しを戻すと・・・「登場人物が不治の病で死んじゃいました」とか「失明して恋は成就しなかったけど偶然再会してウマイこといきました」的な判り易いストーリが提供されれば、彼らは「感動しました」「泣けました」「一生忘れません」とお定まりの感動をしてくれる。

では、少々難解なストーリや映像表現などに挑んだ場合、彼らの思考はどうなるか?

感動するために、一旦『芸術(性)』という経由地を迂回するのだ。
傍目には「おいおい、そんな手垢のついたありきたりな表現方法のドコに芸術性があるんだよ」と思う作品にでも、「芸術的表現が素晴らしかった」などと言って彼らは感動できるのである。

2007年6月 7日

映画「太陽」

さてさて、映画『太陽』を観たのである。

このインタビュー記事によるとこれは『芸術映画』なのだそうだ。繰り返し聞かれる質問に適当にいなす形で『芸術』と答えたとも考えられるが・・・。

私としては「すみません、この映画にその芸術を見出すことができませんでした」が率直な感想である。同監督作品の連続性の中でその芸術は発見できるかも知れないが、今のところ未見で判断しようがない。この映画に限っての感想である。
情緒的な映像、何かを比喩するような場面は散りばめられているが、そんなことは他の監督でもできそうだ。芸術と主張するからには何か衝撃が欲しかった。ソクーロフ監督独自の表現は?
御前会議は岡本喜八監督『日本のいちばん長い日』を参考にしたそうだ。古いビデオを引っ張り出して比較すると、完全コピーと言っていいくらいソックリだったし・・・。

あと、イッセー尾形の芝居で気になったのは、皇后と再会するシーン。
“天皇が特別な存在としてではなく人間として家族との再会を喜んでいる”と云うよりも、“イッセー尾形が気の会う桃井かおりと芝居ができてホッとした”ように見えた。意地悪な見方かな。

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2007年6月 8日

岡本喜八監督

岡本喜八監督の映画には一貫して「バカバカしさ」が存在する。その「バカバカしさ」はコミカルであり同時に深刻でもある。

赤い顔して、青筋立てて、声を荒げて、命を架ける・・・そんな時代の出来事に内在する「バカバカしさ」を浮き立たせる名人だった。
「バカバカしい」を表現手段として使い「そんなことはおよしなさいよ」とそっとささやいてくれる。「私はxxに反対だ!」などと声高に主張したりしない。

ソクーロフ監督が参考にした『日本のいちばん長い日』はどちらかと云うと同監督作品の中では異色かもしれない。軽調ではないのだ。ポツダム宣言の受信から玉音放送までの為政者の物語で深刻なのである。ただ例の表現手段は巧妙に織り込まれている。

この反動でつくったのが『肉弾』だ。最前線の名前もハッキリしないボヤケタ青年が、コロコロ変わる命令に従いながら、彼の青春で本当に大切なモノを見つける物語である。

私はこの映画が一番好きだ。

大谷直子のデビュー作でもある。岡本喜八監督の奥さん、みね子さんに感じが似てる。たぶんタイプだったんだろうねぇ。

2007年6月11日

大谷直子ループ

女優 大谷直子さんの代表といえば、鈴木清順監督の映画『ツィゴイネルワイゼン』である。

ツィゴイネルワイゼンといえば、有名な楽曲で作曲はサラサーテである。

サラサーテといえば、想起するのは小林製薬の商品である。

この商品の初代 TV CM に出演してたのは、女優 大谷直子さんである。

女優 大谷直子さんの代表といえば、鈴木清順監督の・・・

2007年6月12日

春と夏の間に

実家には、桜の木がある。
桜の木 と云うより サクランボの木 と云った方が適切かもしれない。なぜなら品種は佐藤錦だからだ。

春に綺麗な花をつけ、その後、サクランボがなる。
この時期になると、もうほとんど通行人や鳥に食べられて、残り少なくなってしまう。写真はその残りを収穫したもの。
(注意:この写真のサクランボは店頭では販売していません。店にはちゃんとしたルートから仕入れた上等を出してます)

一緒に写っているビワも実家で収穫したもの。
(注意:この写真のビワもサクランボ同様、店頭にはちゃんとしたルートから仕入れた上等を出してます)

sato.jpg

2007年6月13日

三室戸寺

先日、三室戸寺にいった。
このお寺はアジサイで有名である。

雨が降る中、カエルとウグイスの声を聞きながら、お参りをした。
入梅はまだらしいが、梅雨は梅雨でこうやって楽しめるのだ。

アジサイ以外にも、春はツツジ、夏はハス、秋はモミジを観賞できるそうだ。
気候に逆らわず、それを受入れ、楽しむ工夫をしているんだなぁと感心。

mimurodo.jpg

2007年6月15日

Over Level 8

先日、某英会話学校の Level 8 が終了した。
ここは Lv 1 から始まって数字が大きくなるほど上級者と云うことになっている。

パンフレットやサイトには Lv 10 まで書かれているが、通っている教室では Lv 9-10 用のコースがないとのこと。受付の方に確認すると他の教室でもないらしい(ほんまかいな)。

ということで今後はレベル・アップと云う数値目標がなく、レベルにあったそれなりの教材を使って学習を続けることになる。

ただそうなると「今期はレベルが○に上がりました」的な報告を会社にできなくなる。実績を示せないと協力してもらうのは難しいだろう。ちゅうことで、授業料分のコマ数を消化したら、今回限りで英会話はお休みしようと考えている。

それにしても、私の実力はホントに Over Lv 8 なのかね。最も厳しい(そして高い)と評判の英会話学校なんだけど、どこか評価が緩いような気がしないでもない。

2007年6月16日

冷蔵庫のメモ

Liebe das Leben, und denk an den Tod!
Tritt, wenn die Stunde da ist, stolz beiseite.

Erich Kästner

2007年6月18日

アフロ軍曹

先日、偶然耳にした『アフロ軍曹』と云う曲。案外、聞けるw。ファンクをよく聞き込んだ人がつくったのだろう。

これはアニメ「ケロロ軍曹」のエンディングで使われていた曲らしい。
私、「ケロロ軍曹」なる漫画・アニメが存在することは知っていたが、一度も見たことがない。なのでエンディング曲も当然知らなかった。この CD は 2004/05/08 だから旧聞もいいところだ。

ところで、このレビューで「ボコーダー」云々とあるが、作者の意図としては Zapp 風に「トークボックス」と思って欲しいのではないか。実際にボコーダを使っているとしても、である。

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